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【Book Review】『ママがフリーランスの「映像翻訳者」で稼げるようになるまでの話』三浦直子・著/失敗や悩み 翻訳者のリアルな姿

『ママがフリーランスの「映像翻訳者」で稼げるようになるまでの話』
著者:三浦直子
出版社:タキビ編集室 / 発売:2018年
価格:Kindleのみ 455円(税別)

フリーランスとして、在宅で働くこともできる字幕翻訳者。その働き方から、字幕翻訳者を目指しているお父さん・お母さん方も多いのではないでしょうか? しかし、「育児・家事と仕事を両立できるだろうか?」と少し心配にもなりますよね。今回ご紹介する『ママがフリーランスの「映像翻訳者」で稼げるようになるまでの話』は、そのような方にぴったりの一冊です。

本書は、一児の母である三浦直子さんが、フリーランスの映像翻訳者として奮闘する日々をつづったブログがもとになっています。この本を読むと、これからフリーランスや字幕翻訳者を目指す方は、その生活をリアルに思い描くことができるでしょう。現在フリーランス字幕翻訳者として働いている方は、三浦さんの想いに共感したり、「あるある!」とうなずいたりする点が多いのではないかと思います。

字幕翻訳に興味のある方なら、映像・字幕翻訳者として活躍されている方々のサクセスストーリーなどを聞くこともあるでしょう。そしてその華々しいお話に、「自分がこうなるのは難しいかも…」と、くじけそうになったことはありませんか? そのような方も、本書を読めばきっと勇気をもらえるはずですよ。なぜなら、三浦さんは成功談だけではなく、失敗や悩みも赤裸々に書かれているからです。

気合を入れて取り組んだ案件なのにクライアントから厳しいフィードバックを受けて落ち込んだり、子供の面倒を見ていて仕事をする時間が無くなったりなどです。息抜きで遊んでいたら納期ギリギリになって大慌て!なんてエピソードも書かれています。

そして注目してほしいのが、三浦さんがどのようにこれらのピンチを乗り越えていくのかです。問題にぶつかった時の三浦さんの強みは大きく分けて2つ、“サポートしてくれる味方がいること”と“心の持ち方”になります。

まず、サポートしてくれる味方について。三浦さんの場合、その味方とは、旦那さんとご実家のお母さんです。この2人は三浦さんが仕事に集中したい時に、子供の面倒を見てくれたり家事を手伝ってくれたりする心強い存在です。また旦那さんは、三浦さんが仕事で悩んでいる時に、ふと心が軽くなるような一言をかけてくれたりします。

例えば、ある勉強会に参加した三浦さんは、15年以上のベテラン達と自分のスキルの差に落ち込んでいました。すると旦那さんは「会社員だったら10個上の先輩なんて雲の上の人。同じように仕事ができるはずがないから、まずは自分にないものを把握した方がいい」と声をかけました。その一言で三浦さんは気持ちが軽くなったと言います。

そして三浦さんのもう1つの強みが、心の持ち方です。フリーランスとして働いていると、仕事の量に波がありますよね。忙しい時は次々と仕事が舞い込んできたり、反対に仕事がない時はなかなか受注できなかったりします。三浦さんは仕事が少ない時も落ち込んだりせず、“神様がくれた育児休暇”と捉え、お子さんとゆったり過ごしたり、今後のために翻訳の勉強をしようと気持ちを切り替えます。

フリーランスにとって、仕事の不安定さは常に懸念点の1つでしょう。しかし仕事がない時も、三浦さんのようにポジティブに捉えることができれば、のちの仕事に活かす時間の使い方ができるはず。フリーランスで字幕翻訳をしたいと考えている方は、三浦さんのようにピンチの時に頼れる人を見つけたり、前向きに捉える力を身につけたりすることが大切かもしれませんね。

本書はブログがもとということもあり、とても読みやすくなっています。ぜひお気軽に読んでみてはいかがでしょうか? フリーランスの字幕翻訳者を目指しているお父さん・お母さんはもちろん、「フリーランスとして働きたい」と考えている全ての方におすすめの一冊です。

【執筆者】
安永 サヤ(やすなが・さや)
技術翻訳者(英語)兼、Webライター。映画鑑賞が趣味で、年に100本ほど鑑賞しています。翻訳者の目線から、字幕翻訳に役立つ本をご紹介していきます。

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