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ブロッキング

●ブロッキングとは、映画や舞台における俳優のポジョショニングの事を言います。俳優がいつ、どの位置に動き、どのセリフを言って、どこに移動するか、それがブロッキングです。

舞台劇において、ブロッキングは大変に重要となります。観客は全く移動せずに舞台劇を見るためです。複数の俳優が、どの位置で、何を、いつ行うかによって、演劇の印象も大きく変わります。映画やテレビの場合はカメラが動いたり別カメラアングルに切り替えることができます。しかし、それでもハリウッドではブロッキングは重要な演出力とされてきました。
視聴者にとって映像は自然に見えるに越したことはないわけです。人間は何かを見る時に自分の視点から継続的に観察します。瞬間移動して別アングルから見たりは人間には出来ないわけです。そのため、できるだけカット(編集点)は少なく、長回しでずっと撮影している方が視聴者は楽しめる、という考え方が昔からあります。しかし、長回しのシーンは逆に退屈になってしまう可能性があります。例えば、同じ場所でずっと3人が立って話しているシーンは退屈なわけです。そのため退屈にならないように、カメラはパンドリーなどをして、登場人物たちも動き回って、次々と話が展開していく、そんな撮影をするのです。何も考えずに、単にカメラが動きすぎたり、登場人物が動きすぎたりすると、視聴者にとっては見づらくなってしまいます。そこで監督の技量として(1)カメラをうまく動かして(2)俳優たちもうまく動かす事、が必要になるのです。これがブロッキングです。俳優たちは必要な時にカメラに映りやすいアングルにいて、他の役者がセリフを言っている時には邪魔にならない場所にいる、といった感じです。映画の場合には緻密な計画をたてて俳優やカメラは動きます。日本の黒澤明監督のブロッキングの技は世界でトップクラスとハリウッドでは言われていたそうです。また、素晴らしいブロッキングがわかりやすいのは、三谷幸喜監督の『ラヂオの時間』の冒頭のシーンです。主要な登場人物が冒頭に次々と出てきて、各キャラクターの特性を視聴者に見せていきます。ほぼ全登場人物をワンカットで紹介しています。巧みなブロッキングによる長回し撮影なので、カット(編集点)が無いことに観客が気がつかないくらいです。

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