●ホワイトバランスとは、ビデオの撮影時にカメラの色温度を調整することを言います。撮影したい環境で真っ白い紙などにレンズを向けてホワイトバランスをとります。そうすることで、収録した映像は、丁度良い色合いになり、青みがかったり、赤みがかたりせずに撮影できるのです。
人間の目は大変に優秀なため、外にいても家の中にいても、色温度というものを自動的に調整してくれます。しかし、機械はそうはいきません。光には色温度(単位:ケルビン)というものがあり、外で太陽が照っている時の光は青色、部屋の中で電球ライトに照らされている物は赤色をしています。しかし人間の目は優秀で、部屋の中のものが全て赤っぽく見えると不便ですし、外にある全てが青っぽく見えるとそれも不便なため、調整してくれているのです。只、機械も大体であれば自動調整ができます。そのため家庭用ビデオカメラやスマートフォンは自動で色温度を調整してくれています。アバウトな調整ではありますが、毎回、動画を撮影するときに、人がわざわざ、スマホでホワイトバランスをとってから動画撮影する、というよりはマシなわけです。しかしながら、厳密にいうとホワイトバランスを機械が自動で調整しているということは、本当に正確な数値にはなっていないのです。プロがテレビドラマや映画を撮影する時には、少しくらい赤みがかっていてもいいや! とはならないため、撮影する環境にて厳密にホワイトバランスをとります。カメラが一番、正しい色で収録できるようにしてから撮影を始めるのです。ですので、家庭用のビデオカメラで撮影した映像を見ると、少しだけ家の中の映像がオレンジっぽい、などということが時折あるわけです。
一番色温度が高いのは、日中晴れている外です。実際には色温度はかなり青いのです。
一番色温度が低いのは、部屋の中で、電球に照らされている時です。かなり実際には赤い光なのです。ですので、カメラのホワイトバランスの調整が不十分ですと、部屋の中で撮影した映像は少し赤っぽい、オレンジがかった色合いになります。
プロ用のカメラには、ホワイトバランスをとるためのボタンがついています。「ここで撮影しよう」と思ったら、まずは、白い紙にレンズを向けて、ホワイトバランスのボタンを押します。そうすると、その場所でのライトに対して、この白色を白として表現しよう!という設定がカメラ内でされます。カメラはその白い紙よりも青っぽいものは青色で収録しますし、赤っぽいものは赤色として収録してくれるのです。
現在でも、ホワイトバランスの調整が時に難しい場合があります。室内ライトのレストランでレポーターを撮影していたとして、レポーターがしゃべったまま歩き出して外に出たとします。映像は完全に真っ青になってしまうのです。これにどうやって対処しているかというと、プロ用のカメラにはいくつか色温度を記憶させることができるのです。ですから、カメラマンは外に出た瞬間に、カチャッと色温度設定を(外バージョン)に切り替えるのです。よく映像を見ていると、フィルターが変わったかのように、急に色が変わったのがわかります。カメラマンが部屋から外に出た瞬間にうまく色温度設定をパッと変えれば、視聴者には気づかれないのです。通常、3つくらいは色温度を記憶させることができますので、外の太陽の下、部屋の電球の明かりの下、蛍光灯の部屋の中、などとカメラに事前に記憶させておけば、対応ができるのです。
また、プロが映画やドラマを撮影する時には、違った色温度のライトが混在しないようなライティングをします。タングステンライトと外の太陽の光がまざっていると、撮影した映像は色が混ざった状態になってしまいます。1箇所だけ黄色がかったり、青かったりしてしまうのです。どうしても外の撮影でライトも使う場合には青いゼラチンフィルターをライトにかぶせるなどして、太陽の光と同じ色温度に調整します。
とはいえ、色温度は必ずしも正しい数値に合わせるとは限りません。ドラマで別れのシーンであれば、あえて少し哀愁が漂う赤っぽい雰囲気にすることもあるのです。これは映画も同じです。
静止画の写真撮影においても色温度は同じです。写真をフィルムで撮影していた時代、プロ用のフィルムは、デイライト用フィルムと、屋内用フィルムとに分かれていました。
色温度はケルビン(K)でその数値を表現します。