●ノンドロップ映像とは、撮影したままで特に放送用にタイムコードを調整していない映像になります。
●ドロップ映像とは、放送用周波数にのせるためにタイムコード上でコマ(フレーム)を少し間引いて記録している映像のことです。日本でカラー放送が始まった約60年前に周波数に映像をのせる都合でドロップは始まり、今も続いています。映像がドロップかノンドロップかを確認せずに編集作業や字幕制作をすると1時間で3秒以上ズレる可能性があります。
映像の編集や字幕制作をする際に、その映像が「ドロップフレームの映像」なのか「ノンドロップの映像なのか」そこを間違えると音声や字幕がズレていってしまいます。俳優の口が動いていないのに声が出たり、しゃべっていない場所で字幕が出たりするトラブルとなります。
約60年前にカラー放送の映像をのせられるように周波数を調整しました。その結果、白黒放送では1秒30フレーム(コマ)ぴったりの放送だったものを1秒29.97フレームの送信スピードに変更しました。1秒30フレーム(コマ)ぴったりならば、31フレーム目は、時間軸のちょうど1秒目から表示されますが、1秒29.97フレームでは時間軸のちょうど1秒目で、まだ30フレーム目の表示が0.03ぶん残っています。31フレーム目が表示されるのは、時間軸で1秒ぴったりをちょっと超えたところからになってしまいます。1秒をちょうど30フレームのつもりでカウントする「ノンドロップ」タイムコードを当てにしてしまうと実際は、正確な時間軸とは、どんどんかけ離れていきます。
ここで登場したのがドロップのタイムコードのカウントです。30フレームぴったりと、29.97フレームでは計算すると10分間に18フレームの誤差が出ます。ドロップタイムでは、この誤差を最小限にするため
「分」の下一桁が、0以外の1~9のときにフレームのカウントを(通常は、27、28、29、00、01、02、03…)となるところを(27、28、29、02、03…)と、00、01の2フレーム分、カウンターを飛ばすようにしました。(カウンターをドロップします)これにより、10分毎には正確な時間軸と合わせ、途中のカウンターも最小限の誤差でとどめられるようになったのです。なんとなく、4年に1回、2月29日が来る、うるう年と似ています。
これらタイムコードは、編集時の同期用の信号としてマスター映像に見えない形で組み込まれています。それが問題なのです。字幕編集でも、このタイムに同期するかたちで字幕の表示/非表示のタイミングを制御します。映像の信号と字幕の設定が異なった場合は表示されるタイミングが徐々にズレていくことになります。
対策としては、字幕ソフトを使って翻訳する場合は、最初に1分のところに飛んで、00、01の数字の有無を確認し、ドロップ、ノンドロップを正しく設定してから始める必要があります。
機械が思い込んでいるタイムと、映像データに刻まれているタイムが異なっていると、段々とズレてきてしまうわけです。