●ネイティブチェックとは、映像翻訳業界では「母国語が外国語でありながら日本語がわかる人」が字幕の確認をする作業を指します。外国語を日本語の字幕にする際に、どうしてもその国で生まれ育った人でないと分からない部分があります。そこをアドバイスするのがネイティブチェッカーです。
字幕制作では通常、翻訳をして字幕ができた段階で、再度チェックをします。翻訳をした本人が再チェックをするのではなく、あえて他の翻訳者さんやスタッフが初見としてチェックをすることも多々あります。それに加えて、ネイティブチェックというのを行うことがあります。これは全体ではなくても、その言語を母国語としている人でないと分かりにくい部分を確認してもらうことです。
日本の作品を海外の視聴者向けに字幕をつける作業も近年増えています。そういった作業においてもネイティブチェッカーは大いに活躍します。
さて、日本のドラマに英語字幕をつけるとして、例えば、下町のシーンで女性主人公が大男がはいているピンクの下駄を見て話すシーンがあったとします。「そのツッカケ、ヤバ、キモかわいいじゃん、ウケるわ。ごっつぁんですって感じやな」このセリフに、英語字幕をつける際、日本語を母国語として育った人なしで英語字幕をつけるのは至難の技です。その国の文化や日常生活を体感していないと感覚が分からないためです。それと同じように英語のスラングが入っているセリフに日本語字幕をつける際、英語圏で育ったネイティブチェッガーがいないと分からないケースは多々あるのです。