●コーデックとは、映像や音声のデータ信号そのものを言います。(MPEG, H264など)
●ファイル形式とは、動画や音声ファイルの形式のことです。(AVI,MOV,FLVなど)
混合しやすい「コーデック」と「ファイル形式/ファイルフォーマット」ですが、基本的にその関係は(箱と、その箱に入るデータ)です。
ファイル形式はコンテナ(箱)です。その箱に入れるのが(映像コーデックと音声コーデック)です。
ファイル形式は「コンテナ」と呼ばれ、映像ファイル(コンテナ)には1つの映像コーデックと、1つの音声コーデックが入れられる仕組みです。
音声ファイルには、1つの音声コーデックが入ります。コーデックとは映像と音声の信号(符号)のカタマリのようなものです。
有名なMPEGやMPが、ファイル名としても、コーデック名としても両方で使われるため混合しがちです。有名な音楽用のファイル(MP3)のコーデックは必ず(MPEG-1 Audio Layer-3)になります。そのため、人々はファイル名としてもコーデック名としても、略して「MP3」と呼ぶようになりました。そういったファイル名とコーデック名が同じモノもあります。
しかし、MP4(ファイル)と、MPEG-4(コーデック)は全く別物です。MP4ファイルには、MPEG-4コーデックも入れられますが、MPEG-1などのコーデックも入れることができるのです。
世界中で使われているMP4形式の動画ファイル。このMP4ファイルには、映像コーデック(MPEG-1,「MPEG-4・H264」等)の中から1つを選んで入れることができます。そして音声コーデックも(AAC,CELP,等)の中から1つを入れることができます。選んだ映像コーデック+選んだ音声コーデックを、MP4という箱に入れると、はじめてMP4という動画ファイルが出来上がるのです。
MP4ファイルの場合、選んだコーデック次第でクオリティが低かったり、再生に問題が出たりします。しかし、MP3ファイルのコーデックは MPEG-1 Audio Layer-3(略称)MP3のみですので、そのようなことはありません。
音声ファルでも、コーデックを選べるものもあります。WAVファイル(拡張子.wav)もその一つです。このファイルは、複数のコーデックから選べます。「PCM」「MPEG3」「GSM6.10」から選べるのです。MPEG3というとMP3に響が似ていて、それもまた混合しがちです。
ファイル形式は「箱」、コーデックはその箱に入れる「映像信号(符号)、音声信号(符号)」という形で覚えておくと便利かもしれません。
(例)
動画ファイル形式(箱) (箱)に入る映像コーデック (箱)に入る音声コーデック
MP4 H.264(MPEG-4)/MPEG-1/等 AAC/MPEG-4 ALS/MPEG-1 Audio Layer-3/等
AVI H.264(MPEG-4)/H.265/等 LPCM/MPEG-1 Audio Layer-3/等
さて、ファイル形式やコーデックについては、大きく2つのグループに分かれています。Windowsのコンピューターで使われるのを前提に開発された形式と、Apple(Mac)で使われるのを前提に開発された形式です。両方のコンピューターでうまく再生、編集ができるデータもありますが、データをそれぞれのコンピューターに適した形式に変換しないと、うまく再生や編集ができないデータもあります。
<主な動画ファイル形式>
● MP4: このファイル形式は多くのプラットフォームで再生できます。WindowsとMacどちらでもサポートされています。ほとんどのスマートフォンでも再生できます。また、SNSにも対応していて、YouTube、Facebook、Twitterなどにも対応しています。(拡張子 .mp4 / m4v 等)
● AVI:Windows用に開発された標準的な動画ファイル形式です。使うPCやソフトによって変換しないと使えない場合もあります。中に様々な形式のコーデック(映像、音声)が入っている形。さまざまなコーデックを選択できます。YouTubeにも対応しています。ファイルのサイズは大きめです。ストリーミング再生には対応していません。(拡張子 .avi)
● Flash Video:このファイル形式は、動画サイトなどで使用されることがあります。汎用性が高い形式です。「FLV」と「F4V」の2つが存在します。(拡張子 .flv .f4v)FLVはH.263/Scorenson Sparkのコーデック等になりますが、F4VにはH264/AVCの映像コーデックが入ります。音声はMPEG-1 Audio Layer-3 などの音声コーデックが入ります。
● AVCHD:ソニー、パナソニックのビデオカメラで良く使われているHD動画ファイル形式です。ブルーレイ用のフォーマットBDMVを応用したとされています。
Macにて使用する時には先に別形式に変換した方が再生しやすい場合もあります。(拡張子 .mts / .m2ts) 入るコーデックとしては、映像はH264/MPEG-4 AVC + 音声はAC-3又はLPCMです。
● MOV(Quick Timeプレーヤーで再生できます):米アップルが開発した高画質の動画形式でプロの動画編集者によく使われています。WindowsのAVIと同じで非圧縮の高画質という位置づけです。さまざまなコーデックを選ぶことができます。高品質でデータ容量が大きいながらも、FacebookやYouTubeでもサポートされています。(拡張子 .mov)
● Windows Media Video / WMV(.wmv):こちらもMicrosoftが開発した動画ファイル形式で、ストリーミング配信を前提として作られています。コーデックもWMVコーディックというものを使用しています。高い画質で保存できますが、ファイルサイズも大きくなります。AppleではWindows Media Playerをダウンロードしないと再生はできません。(拡張子 .wmv)
【主な動画コーデック】
□ MPEG-1:
このコーデックは今は見ないビデオCDなどで使われました。しかし軽いデータで再生しやすいことから、現在でも字幕制作用のワークとしてあえて、この形式を使う場合もあります。負
□MPEG-2:
メジャーなコーデックです。ブルーレイや地上波デジタル放送で使われています。
□H.263:
動画として負荷なく動くためテレビ電話などで使用されています。
□H.264(MPEG-4):
様々な用途で広く利用されています。地上波デジタル放送、携帯電話、圧縮しても画質の劣化が少ないコーデックです。
【主な音声コーデック】
□MPEG-1 Audio Layer-3/略して「MP3」とも呼ばれる:
20世紀末から世界中に普及した音声コーデックです。非常に圧縮率が高いため、音質とデータ容量を考えながら自分で調整ができます。
□LPCM リニアPCM:
圧縮していない高音質のコーデック。容量は大きくなります。フルーレイの音声などでも使われています。
□FLAC:
高音質ですがデータの重さ(サイズ)はオリジナルの半分位になります。iTunesでは再生できません。
□AAC(Advanced Audio Coding):
高音質ながらデータの重さ(サイズ)はオリジナルの10%位まで小さくできます。地上波テレビやYouTube, iPhone、ゲーム機などで広く使われています。
□Apple Lossless:
Mac用の開発され、非圧縮と同じくらい高音質です。データのサイズはオリジナルの50%から70%になります。ロスレスの名前の通り音質をロスすることなくデータを圧縮できるとされています。