●せっしゅ/セッシュとは、撮影の際に俳優の背を高く見せる際に使う「踏み台」のことです。時には人以外の被写体を高くする「台」もそう呼びます。1910年代〜20年代にアメリカで3番目に有名な俳優とも言われた早川雪洲(Sessue Hayakawa)の名に由来しています。多少、他の俳優よりも背が低かった雪洲は撮影で時折、踏み台を使っていました。その後、アメリカの撮影現場で「セッシュして」と言えば「その被写体を高くして」という意味になりました。その言葉が日本の映像業界にも伝わり「セッシュして」「セッシュ持ってきて」等という言い方で使われるようになりました。
早川雪洲は、チャップリン、バレンティノと並んでサイレント映画時代、世界的なハリウッドスターでした。ロサンゼルスにて32の部屋があるグレンギャリ城と呼ばれる大豪邸に住んでおり、ベーブルース等の各界の有名人を招いて頻繁に百人を超える大きなパーティーを開いていました。その後、スキャンダルや第二次世界大戦などに巻き込まれて激動の人生を過ごしています。晩年「戦場に架ける橋」でアカデミー賞にノミネートされる等、再び1950年代に復活すると、1960年代には日本でもテレビコマーシャルや大河ドラマに出演していました。