vShareR CLUBの編集スタッフが、2025年10月に刊行された書籍のなかから「翻訳という営みを刺激しそうな本」をピックアップして紹介します。

MONKEY vol. 37
特集 猿の英単語
スイッチ・パブリッシング
価格:1,760円(税込)
ISBN:978-4884186791
柴田元幸が長年の翻訳業で培った知見を、「英単語」を軸に紹介・解説。
英米文学の名作から精選した豊富な「用例」も“日英対訳”で収録。
巻末には、村上春樹訳によるポール・セローの短篇「ぼくらのアライグマの年」も。
(出版社ホームページより)

無数の言語、無数の世界
言葉に織り込まれた世界像を読み解く
ケイレブ・エヴェレット 著、大久保彩 訳
みすず書房
価格:3,630円(税込)
ISBN:978-4622097778
私たちは「雪」と「氷」を区別する。それはもちろん、両者が別のものだからだ――しかしもしかしたら、自分が雪と氷を区別する言語を話しているから「別のもの」に思えるのではないだろうか?
言語学者たちはこのような問いに答えるべく、世界中の言語を調べはじめた。するとさまざまな言語に、人々が住む環境の影響を受けて言葉が形作られてきた痕跡が見つかるという。
たとえば高低差2000メートルもの斜面で暮らすある人々は、「左右」にあたる言葉を持たず、ものの位置を常に「上り側」「下り側」で示す。赤道付近に暮らすある人々は、時刻を語る際に空の特定の方角を指差す。ある狩猟民族は、存在しないとされてきた「匂いの抽象語」を持っている。そして温暖な地域の一部の言語は、「雪」と「氷」を区別しない。「言語は、人間の経験の他の側面と切り離してしまっては理解できない」のだ。
かつては、あらゆる言語に共通する普遍的な特徴がいくつもあると考えられていた。しかし、西欧言語とは類縁関係にない言語のフィールド調査が進んだ結果、その仮定は覆されつつある。著者は、むしろ今問うべきは「なぜ言語はここまで多様なのか」だと語る。少数話者言語の消滅が進行する中で届けられた、言語と認知の可能性についての書。
(出版社ホームページより)

「女ことば」「男ことば」を越えて
日本語のジェンダー研究の新たな地平
森山由紀子・加藤大鶴 著
ひつじ書房
価格:5,500円(税込)
ISBN:978-4823412912
ジェンダーについての理解が急速に深まりつつある現在、日本語学の視点から、どのような知見が提供できるだろうか。男ことば・女ことばとはなんだったのか。実際の言語行動とジェンダーの関係はどのように分析・解釈されるのか。地域言語・歴史的言語を含めた言語実態の観察をベースに、日本語のジェンダー研究をアップデートする一冊。執筆者:石川慎一郎、遠藤織枝、荻野綱男、尾崎喜光、加藤大鶴、上林葵、金水敏、小磯花絵、甲田直美、佐竹久仁子、高木千恵、田中牧郎、日高水穂、三宅和子、森山卓郎、森山由紀子、森勇太
(出版社ホームページより)

たとえば「自由」はリバティか
西洋の基礎概念とその翻訳語をめぐる6つの講義
渡辺浩 著
岩波書店
価格:2,970円(税込)
ISBN:978-4000617260
「自由」「権利」「法」「自然」「公/私」「社会」──これらの翻訳語は、原語と同じ意味なのか。日本政治思想史の研究者が、西欧における原義を探り、様々な試みの末に普及した現在の翻訳語との意味の相違を明らかにする刺戟的な講義。
(出版社ホームページより)

煌めくポリフォニー
わたしの母語たち
温又柔 著
岩波書店
価格:2,420円(税込)
ISBN:978-4000617185
台湾で生まれ、日本で育った作家が、複数の言語のはざまに立ち、「正しい」「普通の」日本語を揺さぶりながら、言語の豊かさを紡ぎ出す。李良枝、呉濁流など、「国の周縁」で創作をしてきた先人たちの言葉に導かれ、日本語と向き合ってきた自身の軌跡をたどる。散文や講演録、創作を収めた、ポリフォニックな1冊。
(出版社ホームページより)

言語化するための小説思考
小川哲 著
講談社
価格:1,210円(税込)
ISBN:978-4065410431
その文章、「自分のため」に書いていませんか?
「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのかーー?
『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』『火星の女王』
祝デビュー10周年! 時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目からウロコの思考術!
☆小説の改稿をめぐる短編「エデンの東」も収録!
☆手に取りやすい新書サイズで刊行!
小説ーーそれは、作者と読者のコミュニケーション。
誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。
抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.
小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。
(出版社ホームページより)

伝わる言語化
自分だけの言葉で人の心を動かすトレーニング
三宅香帆 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格:1,760円(税込)
ISBN:978-4799332139
25万部突破のベストセラー!『「好き」を言語化する技術』著者、三宅香帆が教える
自分だけの言葉で、相手の心を動かす言語化実践のコツ!
「プレゼンで熱意が伝わらない」
「PRで商品の価値を伝えきれない」
「1on1で部下の心に響く言葉が出てこない」
そんな「言葉の壁」に悩んでいませんか?
現代のビジネスパーソンに求められるのは、自分の考えや想いを、自分らしい言葉で相手に届ける力です。
本書は、あなたの考えや想いを正確に、かつ魅力的に伝えるための「言語化」スキルを、7つの実践的なワークを通じて習得する一冊です。
著者は、『「好き」を言語化する技術』や『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で大ヒット連発中の文芸評論家・三宅香帆氏。
本書で必要なのは、難しいテクニックではありません。カギとなるのは、「細分化」と「情報格差を埋める」技術。これにより、ありきたりな表現から脱却し、あなただけのオリジナルの言葉で相手の心を動かすことが可能になります。
自分が本当に伝えたいことを言葉にできるように。
実践ワークが豊富に用意されているから、ただ学ぶだけではなく、手を動かしながら「言葉にする力」が確実に身につきます!
プレゼンや商談、自己PR、部下や子どもとのコミュニケーションまで、あらゆるビジネス・日常生活のシーンで「伝わる喜び」を実感してください。
さらに、「言語化の技術」を応用した企画・コンセプトづくりの方法まで、一歩踏み込んだ内容も紹介しています。
(出版社ホームページより)

頭の中がどんどん言葉になる
瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉 著
SBクリエイティブ
価格:1,760円(税込)
ISBN:978-4815634599
「言いたいことが、うまく言葉にできない」
本書は、そんな「言語化力」に悩む人が、短い制限時間内にたくさんの「言葉にするトレーニング」をすることで、頭の中をどんどん言葉にできるようになる本である。
(出版社ホームページより)

型を覚えてラクに伝える
今さら聞けない 伝え方<話す・書く>の超基本
山口拓朗・森泉亜紀子 監修
朝日新聞出版
価格:1,540円(税込)
ISBN:978-4023341708
「話し方」「書き方」の超基本テクニックをまとめる超基本シリーズ17作目。監修者は編集者、記者経験を生かし、多くのベストセラーを世に送り出してきた”伝え方”のプロ。職場・プレゼン・雑談・会議・企画書・チャット・SNS・メールなど、具体的なシチュエーションごとに、迷わず思い通りに伝える技術を徹底解説します。
(Amazon商品ページより)

そして誰だれも翻訳しなくなった
高学歴館の悲劇
宮崎伸治 著
五月書房新社
価格:1,980円(税込)
ISBN:978-4909542779
「高学歴翻訳部、消滅。」 これは、ちょっと信じられないけれど、ぜんぶ実話。 一流大学を出たエリートばかりが集まった翻訳部。誰もが「ここにいれば安泰」と思っていた。 でも……1人いなくなり、2人いなくなり、3人いなくなり……最後には、部そのものが跡形もなく消えてしまったのだ。 なぜそんなことが起きたのか? 才能あふれる人たちが集まっていたのに、なぜ誰も残らなかったのか? 著者が若き日に体験した「高学歴館の悲劇」は、奇妙で切なくて、どこか笑ってしまうほど不合理。 読めばきっと、あなたも自分の職場や仲間を思い浮かべるはず。 「あれ、これって自分の会社でも起きるかも?」とゾッとするかもしれない。 笑いながら読めて、でも背筋が寒くなる。 そんなリアル・ドキュメントを、どうぞご堪能ください。
(STORES商品ページより)

