「字幕翻訳 受注から納品まで with SST」 #4
2026
1/09
[ご注意] ・この記事は自動文字起こしを元に作成しているため、一部に誤りや話者の特定ミスが含まれる可能性があります。 ・本動画シリーズは2023年6月~12月にかけて公開されたものです。ソフトウェアの仕様や業界の状況に関する情報が現在とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
字幕翻訳の地図「ガイドライン」徹底解説!文字数からスポッティングルールまでプロが教える重要ポイント
これまで映像翻訳の仕事における「動画ファイル」「スクリプト」の確認方法を解説してきました。素材確認の最終ステップにして、翻訳品質の根幹をなすのが、クライアントから支給される「ガイドライン (仕様書 )」の読解です。
このシリーズ「字幕翻訳 受注から納品まで with SST」の第4回では、特別編として、制作会社、翻訳者、字幕ディレクターのプロ3名が、実際のガイドラインのサンプルを見ながら、翻訳者が作業前に必ず押さえるべき重要項目を徹底解説します。1行あたりの文字数 や行数といった基本的な字幕ルール から、スポッティング におけるイン点・アウト点 の細かな指定、さらには近年ますます多様化するクライアント独自のスタイルガイド まで、プロの現場で求められる基準が凝縮されています。この記事を読めば、翻訳の正確性と効率を飛躍的に高めるガイドラインの読み解き方が身につきます。
目次
最終確認!翻訳の設計図「ガイドライン(仕様書)」
今回は、依頼が来た後の素材確認の特別編として、配信などが増えてきている時代におけるクライアントからのガイドライン、仕様の重要ポイントを解説いたします。翻訳を依頼した作品は短編映画の『GAME』です。我々の立場が異なる3人が画面共有しながら今回進めていきたいと思います。
初めて担当するクライアントさんの場合には、仕様書というのも一緒にいただく場合が多いです。何が書いてあるのかというと、1行の字幕の文字数とか、イン点の取り方。音の頭から何フレ前で取るような仕様なのかということと、あと字幕間の最低フレーム数。
制作会社さんにもよるんですけど、基本的には仕様書というのがあって、作品をお願いする時にはお渡しすることが多いです。それを実際に見て、どういうふうに注意しなきゃいけない点みたいなところも見ていければという感じですね。
【実践解説】ガイドラインの重要項目を読み解く
画面調整のところとかは制作的な内容になるので、字幕翻訳者として見るところといえば、やはり字幕位置・表示。横下中央揃えで行頭揃え、ですね。
あとはテロップ位置の指示ですね。テロップ訳の入れ方であったりとか、セリフと同じタイミングだった時にどのように振り分けるのかという指示がある場合もあります。
ガイドラインにおける「テロップ」とは、画面に焼き付けで表示される文字情報全般を指します。地名や役職名、状況を説明する「For Sale(売物件)」のような看板の文字などがこれにあたります。セリフとテロップが重なる場合の表示ルールは、クライアントによって細かく指定されているため、特に注意が必要です。
配信とかだと、基本的に日本語字幕って通常はAトラック・Bトラックで使うんですけど、それこそYouTubeとかだと同時出しができないから1トラックだけで作ってね、みたいなことも稀にあったりするので、そういった時とかは仕様書に「同時出ししないでください」とか「1トラックだけで完結してください」みたいな指示があったりするかもしれないので、ここも作業前には確認しておく必要があるかなと思います。
文字数と行数:字幕の基本ルール
横一行に何文字まで入るのか。この場合は、基本的には全角のことが多いんですけど、全角で13文字で2行まで。
やっぱりドキュメンタリーとか、作品のジャンルによってはかなり13文字だと厳しいっていうのがあったりするので、展開する媒体さんによっては、もうちょっと許容してる制作会社さんもあるとは思うので、そこは相談してもいいのかなと思いますけど、何も言わずして14文字で作ってきたら「おいおい」みたいな感じになっちゃう。
その辺は聞いてもいいものなんですかね?仕様書でこう書いてあっても、「本当は何文字までいけるんでしょう?」って。
言っちゃうかもしれないですね。「仕様書13文字になってるんですけど、今回はこういう用途なんで、例えばドキュメンタリーだし収まらないと思うので15文字か16文字いってもいいですよ」みたいなのは、僕も言っちゃうかもしれないですけど。仕様書って結局一般的な仕様書でしかないので。
あと、縦字幕は文字数が少なくて、11文字か12文字のところが多いんですけれども、この仕様書によると11文字。あと3行までいけることも多いんですが、最近配信だと2行までっていうところが多いですかね
放送とかだと3行ぐらいまでいいですよとかあったりはするんですけど。
ここは翻訳し始めてから後で気づいて変更したりすると、非常に修正に時間がかかるし大変なところなので、必ず始める前に確認しておいた方がいいと思います。
字幕の位置:セリフとテロップの表示ルール
あとはフレームレートですね。仕様書では一旦飛ばして、あと字幕間ですね、重要なのが。ここだと2フレームって書いてあるので、字幕間で2フレームって書いてあった場合は、最低の字幕間の尺が2フレームになるようにということで、絶対に全部2フレームにしなくちゃいけないっていうわけではないですけど、最低字幕間ってことですね。
ちょっと前までは3フレームっていうか…僕が習ったのは3フレームだったんですけど。
これは某社さんが2フレームっていう形を…それが一般的になったのかなって気はするんですけど。AトラックとBトラックの字幕間に関しても指摘されたことがあって。
要は、Bトラックって別物と考えた時に、Aトラックとの字幕間がピッタリになることもなくはない。
システム上は全然できちゃうんですけど、それもある会社さんでは引っかかるので、そこもちょっと空けたりするっていうのがあって。
時間のルール:最短・最長表示と字幕間
ここ(字幕間)も全ての字幕に関わってくるところなので、スポッティングを始める前に必ず確認しておいた方がいいポイントだと思います。
「字幕間(ルビ:じまくかん)」とは、前の字幕が消えてから次の字幕が表示されるまでの間のことです。通常は最低でも2〜3フレーム空けるようにルールで定められています。これは、字幕が連続して表示されると視聴者が読みにくく感じるためです。
スポッティングのルール:イン点とアウト点の作り方
あと、音頭(おとあたま)の取り方ですね。タイミングのイン点ですけれども、これだと「音始まりの2フレーム前」なので、音が聞こえたところから1フレーム戻って、そこが音頭になるので、そこからさらに2フレーム戻る、という形でイン点を取ります。3フレームのところも結構多いなという印象です。これは会社さんによって違うので、これも最初にスポッティングを始める前に確認しておいた方がいいポイントだと思います。 アウトに関しては結構…
私も今、細かいなと思って(笑)。これも制作会社さんによって全然違うかなと思います。「音終わりピッタリにしてほしい」とか、制作会社さんというよりかは、お仕事を出されているクライアントさん側の要望だったりもしますし。
インはあれですけど、アウトは結構適宜みたいなところが、ちょっとごまかしている部分が制作側としてもあるかなと思います。
だいたい目安としては音終わりから10フレぐらいですかね。やっぱり感覚としては持っていて、制作側も「お?」って思ったらちょっと数えたりして、全体的にそうなってたら翻訳者さんにフィードバックしたりとかいうのは全然あるかなと思うので。
あと、カット変わりですね。これの場合は、イン点はカットぴったり、アウトはカット変わりから2フレームを中に入れる。SST上だと左に2フレーム下げるっていう感じですね。
ここも色んなパターンありますよね。1フレームずつ中に入れる、インもアウトも入れてくださいっていうのもありますし。
仕様書がある場合には書いてあることが多いんですけど、ない場合は聞かないと教えてくれない会社さんもあります。聞いてみると会社さんによっては、通常の字幕間は2フレだけど、カット回りは1フレとかいう時もあったりとか。
翻訳の前に必ず確認すべきこと
あと表記ですね。これは「朝日新聞の用語の手引きを基本とし、補足的にNHK新用字用語辞典を使用する」と。この2つを基準にしてくださいっていうところが多いですけど、これも聞かないと言ってくださらないところがほとんどだと思います。
結構でも、汎用性が高いのは朝日なのかなという気はしますね。NHKは、特殊って言ったら変ですけど、結構特殊ルールが多いですよね。
特定の指定がなければ、どっちかで使用可だったら使っていいっていう感覚ですかね。
そうですね。特定の指定がなければ。やっぱりNHKさんの作品とかだと「NHKにして」って言われた場合は、そっちに合わせたほうがいいんだろうなというのはあるんですけど。
この仕様書は本当に丁寧というか、優しいですよね。この迷いがちな表記例。ここまでやってくれるのはなかなかないかもしれない(笑)。ここすごい迷うところばっかりピンポイントで。何ヶ月の「か」とか、すごい迷うんですよね。
こういうところって、それこそ統一表みたいなのを作ってやるパターンもあるのかな。特に複数の翻訳者さんでやるときとかは、こういった部分が揺れがちなので。
始める前に確認しておかなくちゃいけないポイントっていうのは、やっぱり一行あたりの文字数、縦横それぞれの文字数と、字幕間、カット周りの処理と、あとイン点の音の取り方。そこだけは最低限押さえておけば、翻訳自体は始められるかなと思います。
はい。これで一通りクライアントからいただいたデータが確認できたというところで、作業を進めていくことになるんですけど、やはり納期が短くなってきているというのは最近の傾向なので、先方から素材を支給されたらすぐに確認する、と。
素材受け取ったら、「受け取りました」連絡はやっぱり欲しいですよね。
はい(笑)。できればダウンロードしてから欲しいかなって感じで。「ありがとうございます」って連絡したあとダウンロードしたら、なんか違うやつだったとか、壊れてるんですけど、みたいになると二度手間になっちゃう。
まとめ:ガイドラインは品質を担保する共通言語
今回は、素材確認の最終ステップである「ガイドライン(仕様書)」の確認方法について、実際のサンプルをもとに解説しました。作業の羅針盤となる重要書類: ガイドラインには、文字数、行数、字幕間、スポッティングのルールなど、翻訳作業の根幹をなす規定がまとめられています。作業を始める前に必ず熟読しましょう。クライアントごとにルールは様々: 1行13文字・2行までが基本ですが、作品のジャンルや配信先によってルールは異なります。特に配信系では、テロップの扱いなど独自のルールが設けられていることが多いです。不明点は必ず質問: 「カットアウトの処理は?」「表記の優先順位は?」など、ガイドラインを読んでも不明な点があれば、作業を開始する前に必ず制作会社に確認しましょう。この一手間が、後の手戻りを防ぎます。迅速な確認と報告: 素材を受け取ったら、速やかに内容を確認し、「拝受しました。素材に問題ありません」と一報を入れるのがプロの気遣いです。 ガイドラインは、翻訳者と制作側が品質を担保するための「共通言語」です。一つ一つのルールを正確に理解し、遵守することが、信頼される字幕翻訳者への道につながります。
これで動画、スクリプト、ガイドラインという3つの素材確認が完了しました。次回からは、いよいよSSTを使った実践的な作業に入ります。まずは字幕制作の土台作りである「スポッティング前のユーザー設定」について解説します。
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