vShareR CLUBの編集スタッフが、2025年5月に刊行された書籍のなかから「映像翻訳という営みを刺激しそうな本」をピックアップして紹介します。

翻訳はおわらない
野崎歓 著
筑摩書房
価格:1,100円(税込)
ISBN:978-4480440211
AIが高度な翻訳をしてくれる時代に、「それでも人間が翻訳をする」ことの意義はどこにあるのだろう? 私たちは言語とどう向き合うことになるのだろう? フランス文学の名翻訳者が、その営為の本質に迫り、言葉・文学・世界に思索をめぐらせる極上のエッセー。『翻訳教育』(2014年)を改題し、あらたに1章を増補した文庫版。
(出版社ホームページより)

日本語学
2025年 6月号 夏号
甲斐睦朗、荻野綱男、近藤泰弘 監
明治書院
価格:3,410円(税込)
【特集】SNSで飛び交う日本語
日常生活において、身近な情報を文字でやりとりするメディアの中心が手紙からメールに移ったときに、日本語の表現にも「打ち言葉」が増加するなどさまざまな変化が生じた。近年、より手軽な情報交換のメディアとして、日本ではLINEが急速に普及した。そこでは音声はほとんど用いられず、従来見られなかった視覚に頼った言語表現が産み出され、日々大量にやりとりされている。文字コードの制約を受ける環境でありながら直接言語を表記しないスタンプも一般化しつつある。その他の様々なSNSにおいても新しい現象が現れている。 そうした空間では、一対一の通信から多対多のやりとりまで行われており、社会集団による種々の傾向も見出すことができる。「おぢさん構文」や「マルハラ」などと呼ばれる意識まで現れたことが報道されており、そうした文体や表記などにより感情面などでのミスコミュニケーションやその遊戯的な模倣、そしてそれらを回避するための書記行動の変化まで生じている。
これらの多様な言語事象に関して、現状と背景そして将来について検討していく。
(出版社ホームページより)

通訳翻訳ジャーナル
2025SUMMER
イカロス出版
価格:1,650円(税込)
通訳と翻訳と通訳ガイドに関する情報を扱う、国内唯一の定期媒体。
巻頭では、「日本翻訳大賞」の10年間の歩みを振り返る。
40ページ超の大特集は「特許&法務分野の通訳・翻訳」
特許出願関連書類を扱う特許翻訳や、
各種契約書や証明書、裁判関連書類などを扱う法務翻訳といった専門性の高い分野は
通訳・翻訳業界の中でも安定した需要がある。
しかし近年、機械翻訳(MT)やAIの急速な進化がこの分野にも影響を及ぼしつつある。
そこで、仕事内容、必要スキルなどの基本情報に加え、
翻訳エージェントへの取材や現役プロの声を通じて
最近の変化やMT活用の最新動向、需要の傾向を詳しく紹介。
また、デポジション通訳や司法通訳も含め、法務関連の通訳の動向も紹介。
さらに、特許翻訳者の求人情報や志望者に向けた実践的な翻訳レッスンも掲載。
第2特集は、「自動通訳 最新事情」
翻訳業界では、機械翻訳に加えChatGPTなど進化したAIの活用が浸透しているが、
通訳業界ではどうだろうか。
AIによる音声認識、合成音声での発話機能が向上し、
「自動通訳」と呼ばれるサービスを耳にすることも増えてきた。
そういったサービスは、どういった場面でどのように活用されているのか?
最新の自動通訳技術はどこまで進んでいるのか? 通訳者の仕事に影響はあるのか?
「自動通訳」サービスを提供する会社の担当者に話を聞き、現状を探る。
誌上翻訳コンテストは、「ミステリ編」を開催!
(出版社ホームページより)

英文学者がつぶやく
人生を豊かにするかもしれない英語と英国文化の話
安藤聡 著
平凡社
価格:2,750円(税込)
ISBN:978-4582839869
川添愛さん(作家・言語学者)推薦!
「変なスポーツ、辞書に載らない単語、世界最低の詩人……。読んで確信した。
無駄と無意味こそが至高であり、豊かさであり、英国文化の真髄なのだと。」
英語を学ぶ人、英国文化を愛する人に捧げる、
知れば知るほど面白いトリヴィア満載の教養エッセイ!
「英語圏、特に英国には優れた文学作品が数多あり、多種多様な伝説があり、諺や成句など面白い表現がいろいろある――先に触れた『胡瓜のように冷静な』や『ドア釘のように死んでいる』といった不可解なイディオムも枚挙に暇がない。英国には造園や自然観察、あるいは英国発祥の各種スポーツを始めとして、他国のそれとは一味違った特有の文化があり、英国各地にはその地質や気候の多様性に育まれた独自の地方色がある。英語や英国文化を楽しむためのきっかけとなることを期待して、雑多な『無駄話』を以下にお届けする。」
――「はじめに」より
(出版社ホームページより)