映像翻訳をするにあたって、さまざまなシーンで必要になってくるのが「映画やドラマの作品情報を調べる」という作業です。例えば映像翻訳では翻訳そのものだけでなく、あらすじやキャスト表の作成を一緒に頼まれるケースがあります。そういう時にまず確認したいのはその作品の公式ホームページ。ただ日本で未公開の作品だと日本語の公式ホームページがなかったり、あまり情報が得られないことが多いかと思います。
そんな時に役に立つサイトが「IMDb(Internet Movie Database:インターネット・ムービー・データベース)」です。これはAmazonの子会社が運営する英語のサイトですが、映画やドラマのキャスト、スタッフ、予告から作品の尺まで、ありとあらゆる情報が載っているオンラインデータベースです。
IMDb: Ratings, Reviews, and Where to Watch the Best Movies & TV Shows
作品のタイトルを検索すると、まずタイトルとサマリー、主なスタッフなどの基本情報に加えて、ユーザーレビューによる作品のレーティングも表示されます。また、作品の予告編も見ることができます。
ページのさらに下の方に行くと出演者の一覧が載っています。ほかの映画情報サイトや公式ホームページでは5~10人の主要キャストしか載せてないことがほとんどですが、IMDbの場合は「soldier」のようにほんの少しだけ出演しているような脇役まで、役名と俳優名が掲載されています。
さらに俳優名をクリックすると、その俳優の情報ページに飛ぶことができます。俳優の基本情報に加え、過去の出演作もデビュー当時のものからかなり細かく掲載されているので、俳優のプロフィールを作成する際などにも役に立ちます。
またドラマシリーズにはエピソードリストが掲載されており、過去のすべてのエピソードとそのタイトル、あらすじを見ることができます。あるドラマのシーズン5からの翻訳の仕事が来た、なんていうケースもよくありますが、過去のエピソードすべてを見ることは時間的に不可能です。そんな場合はシーズン1~4の各エピソードのあらすじやタイトルをこのサイトでチェックして、そこから概要をつかんだり、参考になりそうなエピソードを特定して実際に見てみたりすると、シーズンの途中からでも効率よく翻訳作業に入れます。
このように映像翻訳においてはいろいろな場面で映画やドラマの正確な情報を手に入れる必要が出てきますが、情報源が何かということも大事になってきます。映画情報サイトは多数ありますが、どのサイトの情報なら信憑性があるか、クライアントにどの情報を基に作成したものか、などをきちんと説明できれば信用度も上がります。急にそういう案件を受注した時に「何からどう調べていいのか分からない!」という状態にならないように、普段からこういったサイトを時々使用して慣れておくとよさそうですね。
【執筆者】
梶尾佳子(かじお・けいこ)
フリーランスの字幕ディレクター兼ライター。日本語版制作会社の字幕部にて6年勤務した後、独立してフリーランスに。翻訳を含め、言葉を扱う仕事に関する様々な情報や考えを発信していけたらと思っています。